くうきのいろ: 2009-12-11

2009-12-11

あったかい音

今日はおとうさんの誕生日。

結局 プレゼントはまにあわなかったけど
せめてもの気持ちに 朝 メールをおくった。

朝からおかあさんのメールも明るく、なんだかいい気持ちで今日がスタート。


仕事も恐れてたわりに、今日はすんなり終えて、
駅のホームからうちに電話した。
いったん出なかったから切ったけど、すぐにおかあさんから着信。

出ると、
「もしもーし♪」とおっきくて元気な声。
わ!と ぱぁっとまわりの景色が明るくなる。
「もしもーし」とかえすと
「とうさんとワイン飲んだら よっぱらったよー」と笑顔の声。
向こうで「あー、おいしい!おいしい牡蠣フライー。」とふざけた父さんの声。
すぐそこにいるみたいに聞こえて 思わず「ずるーい」と、聞こえないはずの父さんに返事。

ふたりっきりでも きちんとたくさんのご馳走を作ってあげて
ふたりで食卓に向かい合ってワインで乾杯をしてるなんて おもいもよらなくて
もう、そのことがうれしくてうれしくて、ほんとにうれしくて、
ホームってこともわすれて 思わず大きな声で私も笑ってた。

毎年、この日だけはどどーんとお父さんが好きなものを作ってあげて、たくさん食卓に並べるお母さん。
とんかつ、お寿司、牡蠣フライ、お刺身。
「今日ばっかりは特別だからねー お財布のひもゆるんだよー」だって。かわいい。
きっと何日も前から献立考えて、朝から たくさんお買い物にいって、午後 時間をかけて下ごしらえをして、父さんが上がってくる7時にあわせて準備したんだろうな。

お父さんのお誕生日を一緒に祝えたのはもう9年前が最後の出来事になってしまった。

みぃがうちを出てからは、毎年ふたりっきり。

毎年 気になって電話はしてたけど、こんなふうな夜をいっしょに味わえたのははじめてかもしれない。


受話器のむこうに、手が届きそうなほど近く感じる、あたたかくて 黄色く明るい食卓の光とお父さんとお母さんの笑顔。
あまりに自然で、当たり前の揺らぎない景色すぎて、
電話をきって数十分電車に揺られたらそこに帰れるし、と 一瞬思ったあとに、
違う、飛行機か新幹線しかないんだった、と あたまの中の現実が聞こえたとき、愕然とした。

そっか、そんな遠いとこにわたしは今いるんだった。

寂しい、とかじゃなく、ただただ、変な気持ちだった。
目をつむれば 今わたしもそこにいるみたいなのに、実際はちがう。

遠いな。


でも、一瞬でも、夢の中みたいに いっしょにふたりとリビングにいる景色を全身で感じられたから
電話を切っても ほかほかからだじゅうがあったかかった。


明日、必ず いいプレゼントをみつけよう。