朝から洗濯したり支度したりして出かける時間にそなえてた。
さぁ そろそろ、とあわてて慣れないストッキングをはくと、少し前に塗ったばかりのマニキュアが全部の指、ぺりっとはげた。
とたんに自分でコントロールできないほどに意気消沈して、あとは止まらなかった。
とればいいのにそれもいやで。かといって諦めもつかず。
起きて間もないのにわたしのために写真をプリントアウトしてくれ、自分もあせあせ準備してるゆうくんが、一生懸命私の気落ちをなぐさめて励ましてくれてるのに、八つ当たりをして。大事なこたちも置き去りにして。
思い出してもどうかしてた。
ひとり、勝手にむやむやかっかして収拾つかなくなってたくせに、ゆうくんがさすがに怒って先に自転車で駅に向かう後ろ姿を目にすると、とたんに水をかぶったみたいに全身の血の気がひいて 目が覚めた。
なんてことしたんだろう。なんて酷いことしたんだろう。
ひたすら漕いで走って駅につくと、乗るはずだった電車がちょうど出たばかりだった。
電車が通りすぎると、そこにはゆうくんの姿。
いまさら焦っても、いまさら謝っても仕方ないのに、謝るしかできなかった。
池袋でこみあった車内が少しすくと、それまで少し離れたところにたってたゆうくんが、こちらに振り向いて じんわりあったかい陽なたみたいな顔で微笑んでくれた。
あぁ もう なんてことだ、なんて大きいんだろう、わたしは甘えきって こんなに大事な人に 酷いことをした。
反省しきり、それ以上にこころの底から 全身まるごとでありがとうを想った。
わたしは ゆうくんのおかげで私を生きていられる。
ありがとう。