外はまだ夜。
2009年最後の朝。
と、突然の クリスマスプレゼント。
ハイ、って ベッドの上に金色リボンがかけられた濃いピンクの小さな箱。
びっくりして びっくりして かさかさ開けると、キラキラ輝く 壁面に細かい彫りがはいった ほそくてとても上品な指輪。
「ぬけがけして買っちゃった。最近よく頑張ってるさなえにプレゼント」
みるみる目の前が涙で霞んで、しまいには声をだしてうわんと泣いた。
はめてみると カーブがしっくり 指に馴染んで、あっという間に わたしのからだの一部になった。
一気に 優しい優しいきもちが流れ込んできて、少し前までうんざりしてた夜の仕事もなにもかもへの苦い気持ちがきえ去って、ぜんぶがふわふわの 楽しくて気楽な気持ちに切り替わっていた。
指輪をはめて、時々眺めながら、いっしょに冗談いいながら、あったかい部屋で仕事をしてたら、すんなりたくさん頭から手に降りてきて 描きたい絵がかけた。
あまりにショックで
1日中 ぼんやりしそうになって夜を迎えた。
料理をしてても あたまをぐるぐる回るのは このことばかり。
一人で抱えきれなくて、
重さにやられそうで、
もてあまして、ゆうくんの帰りを待ちわびてた。
帰ってきて 晩ごはんを食べるゆうくんに、えぃっと告白した。
「そんなことにほんまになったら辞めようかなぁとまでおもう」と。
そうしたら さほど、というか 全然動じず驚かず、
「辞めたらいいやん」となんのためらいもなくさらりとした返事がかえってきた。
ほぇ?と拍子抜けの私。
でも 一気に いろんな気持ちが音立ててふやけてほぐれていくのもわかった。
私が自分で、いろんな会社的な理由や、会社で通用する理性みたいなやつで、やわらかでほんわりぬくいほんとの気持ちを、無理やり隠して がちがちな固い、逃げ場ないかたまりにしてただけなんだと、ばりっとその壁が剥がれる音聞きながらおもった。
「もしそうなったらスカイプしよ」とか、「1、2年行ってみてあかんかったらその時辞めたっていいやん」とか、明るくいろいろ笑顔で言ってくれるの聞いてたら、なんだかぜんぶなるようになるし、どうなってもどうにかなるような気持ちになってきた。
話す前まで、この世が終わるような気持ちだったのに。
こんなにも寄り添って、おなじ前をみてくれる人がいる。
人生は流されるもんじゃなく、どの方向にでも、流れを変えることができる。
選んで中身を作っていくのは、意志のちからだ。
蓋をあければあたしはまだまだ異動対象には入ってないことも半分以上の確率である。
明日とあさってで その蓋は開けられる。
そのときまで ねむらせとこう。
なんでも 気楽にどんとかまえとこう。
今日はその仲間入り。
帰ったあとに 数時間ゆとりある時間が待ってる、それだけで 今日が倍くらいな厚みとふくらみを増す気がする。
晩ごはん、なにつくろかな。
でもいざとなるとすっかり忘れてて、帰りの上海空港の免税店で はたと思い出したけど、いかにもおみやげ、の雰囲気のもの以外はなくて断念した。
月餅はお月見のときの食べ物だから、季節ものだっていうのも初めて知った。
今日 夜9時をすぎた頃、
MDからのおみやげだと回ってきた箱をのぞくと
そこには
まんまるで、表面に綺麗な模様が彫られた 月餅!
わぁっと嬉しくなって
いただく機会を待って、
帰りぎわに 4つのうち ひまわりみたいな模様のものをひとつ選んだ。
ぱくっと食べると 予想外な食感。
隣で「時々 ローカルな月餅だと粘土みたいな感触と味のがあるよね」とよく月餅は食べるというふかさわさんがぽつり。
と同時に、あぁ、ほんとだ、これは粘土みたいな食感だぁ…と 思いながら、ねちっとしたのをもう一口食べた。
ら。
突然、さっきまで全然正体現してなかった異様な味が一気に鼻に抜けてきた。
げっぺいは口のなかで行き場をなくして、喉もごくりを忘れて、どうしようもなくなってると また隣でふかさわさんが泣きそうになってるわたしを見て。
「あ、だめなやつだった?ほんとに クレヨンの味するやつとかあるからね」
と。
いいえて妙。
まさにクレヨン。
すごく申し訳ない気持ちではあったけど、背に腹は変えられず、そっとティッシュに包んでさよならした。
わたしのげっぺい初体験。
5時にゆうくんの目覚まし。
池袋までお見送りいくから、と昨日聞いたとき、いろんな不安が溶けていくみたいで思わずじんわり涙が出た。
予定通りに出発。
ゆうくんが重たいトランクをすいすいと運んでくれた。
まだまっくらな街。
ホームで手を振って、閉まる扉からずっとみてた。
だいじょぶだいじょぶ、と言い聞かせて。
お見送りってすごい。
全部の力をもらった。
上海。
初めての国。
薄く黄色く灰色の空。
大陸っぽいなぁと 着陸した飛行機の窓から思った。
街は埃と喧騒。
トイレや人にいちいちびっくりする。
あぁ、ここは、たったいまバブルで高度成長期なんだ、と 夜の景色をみて実感。
夜、ゆうくんと電話して、いつもの夜の空気をちゃんと吸い込めた。
疲れた疲れた。
けど、やっぱり集中してちょっとムリしてでも一気に終わらせるって大事。
めまいがくらくら、立ち眩みもひどくなって、おなかが空っぽになってふらふらになったのを乗り越えたら、なぜか すぅっと無の境地みたいになんにも感じなくなった。
脂肪燃焼だ燃焼だとひたすらもくもくと作業。
ひとまずきりをつけて終えた時には2時半すぎ。
お弁当プラスなにかを今日はご褒美にしよう、と二回目になる コンビニのおでんをつられて買ってみた。
普段は食べないはんぺんにした。
思った以上にぱんぱんにおなかいっぱいになって、おかしいなぁ、と考えると
どうやら犯人ははんぺんだ。
あんなにふあっふあだから弱いヤツとおもってたのに、意外と攻撃的だった。
二度寝を何度かしてると、9時がきて、ふと足元を見るとぼぅっとたつ二人。
何事かとおもったら、「ドラゴンボール、みてもいいかい?」と。
二人だけの日曜朝の習慣がかわいらしくて、ほほえましくて。
いっしょに寝起きの頭4人並んで ドラゴンボールをみた。
実は初めて。
おもしろかった。
観終わるとえりさんがホットケーキをかりっかりふわふわに焼いて、コーヒーとグレープフルーツといっしょに、朝ごはんを用意してくれた。
ぜんぶが手慣れた様子で、いろいろ見習いたくなった。
10時ごろ おいとま。
すっぴんの顔だったけど、どうしてだか全然気にならなくて、そのまま新宿に寄ることにした。
普段は絶対こない、朝の新宿。
開店前のお店を待つ間行った伊勢丹で、ゆうくんは理想的なコートに出会えた。いいものは着たその瞬間にわかるもんなんだなぁとあらためてわかった。
ひととおり伊勢丹を見て、ジャーナルにまた行き、そこでわたしまで理想的なコートに出会ってしまって買ってしまった。
欲しかったダウンとモッズコートがあわさったコート。
うれしいな。
ふたりとも大きな買い物をして一大イベントに大満足なのに、それでもまだ日は真上にあって、駅の時計は1時を指してた。
せっかくだからとオリオールでランチをすることにした。
新宿御苑の散歩道を歩きながらむかった。
ころころ たくさん、みればみるほど転がってるどんぐりを、ゆうくんがまんまるふくふくなくぬぎ、細長いこ、ちびっこを2つ拾って ポッケにいれた。
久しぶりに 小さい頃よくくぬぎで作った ネックレスややじろべえを思い出して そんな話をした。
オリオールで、ゆうくんは鱈と白菜のクリームパスタ、わたしはマルゲリータを頼んだ。
パスタは 一口たべたら はっとするくらいおいしかった。
日曜日なのに、週末を満喫しつくして、何度も何度も「あれ?ほんとはわたしが勘違いしてて、今は月曜日なんじゃないかな」と振り返ってしまうくらい、ぎゅうぎゅう 詰まって充実しきった週末だった。
うちに帰ってもまだ3時で、ゆっくり夕方カレーを作れたし。
一秒一挙手一投足、会話のひとつひとつまで、すべてが密度の高いつやつやの珠みたいで、深く心に焼き付いて、無駄に流れた瞬間なんてひとつもない、完璧な週末だった。
ゴミだしにゆうくんがいってくれたから、一気に朝がやってきた。
コーヒーを煎れて みぃの最後のケーキを食べながら、ずっと観たかったDVDをみる。めいっぱいお洗濯をし、シャワーを浴びる。
コルテオのDVDは観ないことにする。
したかったことを一気にとんとんとんとできて、もうこのあたりまででもかなり充実。
コルテオまで時間があるから、それまでひさしぶりに表参道を歩くことにして、漫才を聞きながらゆっくり出かける支度。
外は上着が暑いほどの陽気。駅まで時間を気にせず歩きながら、表参道についたらどこかでお昼を食べようかという話にする。
池袋で山手線に乗り換えて、久しぶりの原宿駅へ。
尖った細い矢が犇めいてるみたいな独特の雰囲気に、一瞬けおされそうになるも、一人じゃないからと まわりをあんまり見ないように 1番嫌いなGAP前を通りすぎた。
めざすはunmarbleというオムライスがおいしいカフェ。
表参道ヒルズを越えた辺りからすごくおなかがすいてきて、お店についたときにはぺこぺこだった。
わたしは 小エビとアスパラのトマトクリームオムライス、ゆうくんはサーモンの漬け丼。
どちらもすごくおいしかった。いつ来ても失敗がない。
コルテオ開場まで一時間。
表参道ヒルズの中に新しくできた子ども服売り場を見に行って、かわいい五味太郎の本をみつけた。
ジャーナルスタンダードで久しぶりにこてこてのナチュラルテイストをみて、私はなんか大事な自分の好きなものを忘れかけてる気がする、と思ったり。
そんな話をしながら代々木公園のビッグトップへ。
すごいタイミングで会社の後輩にでくわして、本気でびっくりして、おかげで場が和んだり。
開場までの30分、会場隣の代々木公園の広場をうろうろ。
フリマではなく、よくある不思議なエスニックな集まりだった。
舞台から聞こえる 日本語のビートルズを聴きながらソフトクリームを食べた。
ゆるいゆるいおやすみの空気。
みんながアイスやビールを持ってた。
コルテオ会場の入り口からはもう音楽が流れてきてて、半年間待ち続けた想いがひゅんっと一瞬にして沸き上がって、スキップしたいような、身震いするような気持ちになった。
席を探すと5列目の本当のどまんなか。まさかの幸運に 3回目だからのご褒美かも、とすごく嬉しくなる。
全部流れもだいたいの演技も知ってるはずなのに、やっぱり一回一回すべてが本番で 日々の積み重ねの、生きてる人の作り上げる舞台だから、ひとつひとつの動作や表情が 弾けるようにみずみずしくて、その場にしかないもので、一人一人に感情移入してしまって、たくさんぽろぽろ涙がでた。
全体的に ゆるい雰囲気が漂ってるように感じたのは、わたしが 緊張してなかったからなのかもな。
ひとしきりおみやげも見て、ステッカーとストラップを買って出た。
9時の水野夫妻との待ち合わせまで、代々木公園を抜けて 公園通りを下りながら ゆうくんの冬のコートを探した。
店員さんが感じよくて、いろいろ見せてもらってたのしくなった。
8:50。恵比寿で待ち合わせ。
ふたりはさすが恵比寿住まい、お風呂あがりでほかほかのまま、お揃いみたいな色とりどりのニットを着て待っててくれた。
いっしょに住んでるとここまで似てくるんだなぁ、と改めておもった。
最近すきな中華やさんでたくさん飲んで、珍しく真面目な話もしたりしてたら、突然「ふたり、今日 泊まっていきなよー」とえりさん。
私たちもびっくりしたけど、みぃくんが一番びっくりしてた。
ありがたく泊まらせてもらうことにして、みんなでTSUTAYAでホラー映画を借りて、ワインのみながら、肩透かしくらいながら、ちょうどよく心地よく過ごした。
まったく黒の洋服なんて持ってなかったわたしには黒のコーディネートは至難の業。
少しずつ少しずつ、レギンスあたりから黒デビューして、やっと一応アウター、トップス、ボトムス、靴まで一つずつくらいは黒が増えてきた。
今日はタイツ以外、全部黒にしてみたけど、なかなかちょっとむずかしい。
赤い黒、青い黒、緑みの黒、黄味の黒、それぞれあるから間違うとほんとにただ黒を重ねた、ちぐはぐな黒のあわせになる。
まだまだやっぱり全身黒は自分のなかでは落ち着かない。でも だからこそ簡単に「衣装を着てる」わくわく感も味わえて、なかなかなんだか楽しくなってきた。
休日出勤の唯一いいのは、行き帰りの電車がすいてること。
いつもの先頭車両から、いつもは見えない景色がみえて運転手気分が味わえる。
知らなかった。
地下鉄の駅と駅の間の線路は谷になってて、駅がくるたびに ひゅうんとジェットコースターが降下する山に登るみたいに登る。
体感できないくらいなのに、視覚的にはしっかりと急な坂。不思議。
所々しかライトがない真っ暗の線路を数分走ると、突然 さぁっと山の上に駅が現れる。
なんだか 遊園地の、座席が映像に合わせて動く、あの乗り物に乗ってる気分になってくる。
電車の運転手もした従兄弟のせいじくんは、こんな景色が日常だったのかな。
飛行機のパイロットなんて、一部の人しか見られない景色が毎日の景色なんだろうし、人生 それだけで その分 他の人より幅が広い気がする。
と 思ったけど
なにも 電車の運転手やパイロットだけじゃなくても、すべての人 一人一人に、その人だけしか持ってない「日常の景色」があるんだ、ときづいた。
すべての人に。
その景色は自分にもあるけど 自分には特別じゃないから つい人のがすごく特別に思えて羨ましかったりするんだ。
こどもみたいな気持ちで電車に乗ってたのに、意外なとこにいきついた。
早くかえるっていい。
なんだっていい。
あたまの中に浮かぶことばのしっぽをずるずるひっぱりだして並べるのだって、その日その時のわたしの記録だもん。
昨日 いちばんなんだかうれしかったのは、パターン依頼をパターンナーさんにしたときのこと。
最初に私が渡して、その次に深澤さんが依頼した。
その時、私の中の一型の袖の仕様と寸法と、深澤さんのそれが、まるで一人の人の横並びのデザインみたいに揃ってたらしい。
パターンナーさん5人ともがびっくりしてたみたい。
その話を聞きながら、深澤さんと「つうじあってますねぇ。でもそりゃねぇー。毎日 寝る時間以外、ほんとにずっと一緒にいるもんね!ひょんな縁ですけど。」ってはなしをした。
おなじ仕様をえらんだということがうれしいんじゃなく、仕事の義務的な関係の中でも、毎日おなじだけの時間を一緒に過ごしてるとこんなふうに通じあえるようになるのか、って、ぽわんとうれしくなった。
ひとりでにしかめつら、
のどもいがいが、
人はぴりぴり。
やられそうになりながらも、週末三日間を魔法の呪文みたいに思い出して、えいえいと気持ちが折れないようにもちあげた。
たくさん撮った写真の中の自分が、自分が思ってた以上に ほがらかやわらかな顔をしてて、昨日は正直とてもおどろいた。
鏡に映ってたのともちがう、楽しくて 安心しきった子どもみたいな、とろけるような顔だった。
あ、わたし、こんな顔できるんじゃん、ってうれしくなった。
ぎゅっと眉ねに力が入ってしかめつらになってたとき、今日は何度もその写真を思い出しては、大丈夫大丈夫 もっとやわらかくなれるから、と言い聞かせてた。
少し効果があったのか
今日は人とはなすときになにかが違った。
すぅっと風が通る感じではなしができた。
いつもは ぎしぎし冷たい音がしてるように感じて、一刻もはやく 会話をきりたいくらいなのに、今日は目をみて、相手との間の空気がまるくなるのを感じれるくらい、余裕がもてた。
なんか ひたすら うれしかった。
先も終わりもみえなくて
ひたすら続くミーティングにくたくたになって、
全然金曜日っていう気分にならず、
土曜日から家族で箱根っていう大イベントにさえ 気持ちの切り替えができない帰り道。
ゆうくんに これから帰るよとメールすると
ちょうど会社でたとこ、と返信。
もしかしたらと思ったら
一本違いの電車で、
到着は10分足らずの差。
駅の前で待ってると、びしっとした姿で降りてきた。
おなかすいたねぇ、とふたり。
ちらりと いつものラーメンやさんに行くのもいいなと思ってたら、ゆうくんが意外な一言を。
「龍虎いく?」
思ってもみなかった素敵な案に一瞬でうれしくなって、時間も時間だから開いてるかわからないけど とりあえずダメもとで自転車をとばした。
入っておばちゃんに時間をきくと「12時までなんですよー」と。
あと10分!
諦めて帰ろうとすると、「大丈夫ですよ、まだ作れますから」と言ってくださって 甘えることにした。
悩まず いつものにしようと、上海焼きそばとあんかけ飯とビールを頼むと、あっという間に作ってくださった。
あんかけ飯を持ってきてくれた時の
「ゆっくり召し上がってくださいね」に ふたりともほやぁっとなった。
一口食べると からだの軸の芯のほうから じわわぁって、音がしそうなくらい、しみわたっていった。
一気にからだがあったまって ゆるんでいくのがわかって、おいしいものってこういうことだなぁ、としみじみかんじた。
この一週間、ゆうくんも帰りが遅くて ろくに話もできてなかったから、おいしいのをぱくぱく食べながら たくさん話をした。
金曜日の夜 っていう特別感たっぷりの一番好きな時間を めいっぱい味わって、しあわせなぬくぬくふくふくな気持ちにきりかわった。
素材のことも、ブランドのことも、洋服のことも、世の中のことも、なんだか全部 せまくしか知らない。
というか、わたしの脳、半分も働いてないんじゃなかろうかっておもう。
流し見ばっかりしてるのかなぁ?
全然 見たり聞いたりしたことが覚えられないから、会話の中で
「へぇ!あ、そうなんですか!」ばっかり。
あたし あほかしら、って毎日 1日終わると悲しくなる。
ミーティングで発言できなかったり、全部 そうですね、ってうなづいたりするのは、すべて自信のなさがさせること。
入れた知識が素通りするのは 自分で感じ取ってないから。
その都度、頭の中に血の流れ感じるくらい、自分で考え感じながら、
浴びるように 懲りずにやりつづけたら いつかは自分のものになって自信もつくかな。
もやもや日記でした。
でも内心どっかで 早くおでかけできるな、ってうれしかったり。
今日は六本木ヒルズのスカイアクアリウムにいく日。
いつもより少し早めに出て、蒲田やで明太子と野菜天のおむすびを買う。
六本木にいくまえに新宿に寄って 私の買い物とリサーチを済ます。
いつもならここで終わりのはずが、今日はこれからがメインとおもうと、わくわくした。
きっと あの展望台からだと夕陽がきれいだよね、とおそめの時間が狙いで。
ヒルズについたのは4時すぎ。
展望台にあがって、窓際の席でマンゴーのフレッシュジュースとホットサンドをたべた。
渋谷の位置がわかっただけで まるで地図を俯瞰してるみたいに、その周り全体の街がどこかわかりはじめて楽しかった。
やっぱり地図は楽しいなぁ。
そろそろ夕焼けになりかけたしいこうか、とスカイアクアリウムへ。
すごくバブリーな匂いするディスプレイの中、涼しい顔して泳ぐ魚たち。
いろんなネオンの色。
どぎつい飾りつけ。
それでも、たくさんの人が楽しそうに 水槽のまわりに群がって きれいねぇ、かわいいねぇ、って見てる。
あっ、と気づいた。
私も数年前までは、こんなふうに水槽の自然の中で生き生きと魚が泳ぐ光景は見知らぬものだったんだ。
ゆうくんが魚博士と知ってもなお、実際に熱帯魚を飼いだすまでは。
でも今は、半分当たり前の景色として、小さなかわいらしい熱帯魚が泳ぐ水槽も、どんな水槽にしたいかをわくわくしながら話すゆうくんの姿もある。
熱帯魚やさんに寄るのも、おでかけのときのたまの楽しみのひとつ。
いくら ちょっとバブリーでびっくりするようなディスプレイでも、中にすいすい泳ぐお魚は変わらず一生懸命生きていて、そんな姿に、普段は魚に馴染みない人でもあれだけ惹き付けられていて、なんだかすごいな とおもった。
晩ごはんはせっかくだから普段いかないとこにしよう、と珍しく携帯で検索。
中華料理で探すと なんだかよさそうなとこが見つかり、赤坂見附まで電車を乗り継いでいってみた。
外国のチャイニーズレストランっていう感じで、すごく騒がしくて活気があって、ごはんはすーごくおいしくてやすいし、大正解だった。
ふたりでおなかいっぱい食べた。
ちょっとした旅にでたみたいな、普段いかない街へのおでかけ。
楽しかったぁ。
でも やっぱり二人だけだとネタがつきるのも早く、目線があってれば合ってるほど 見るところも似てきて 広がりがなくなる。
今回 申さんは、アイディアは提供する役に撤して、毎日 いろんな画像を「今日の分」って渡してくださる。
それをみると、はっとする。
いろんな幅のアイディアがそこにあるから。
わたしはつい「今まさに旬なもの」につい目がいってしまって、そこからはみ出したものは自信がないのも手伝って、排除してしまう。
でも、申さんのをみると、旬のものはもちろん、それプラス「申さんがおもしろいと思ったアイディア」があって、そこからいろいろ考えられる。
その画像がまさに隅から隅まで当てはまることは重要じゃなくて、「おもしろい」「新しい」のポイントを見つけることが大事なんだと知った。
そのポイントを、今の、そしてこのブランドのテイストに落としていくことが大事なことなんだなぁ。
RESEARCHの意味はそこなんだった。
写真をまるまる絵に写すだけなら誰でもできる。
しっかり私の味つけをして、想いを込めて、誰かに着てもらう他にはないものにしていく作業がこの会社でのデザインなんだ。
あとは その想いをいかに、すぐに形に落とせるくらいにまで消化して、きちんと人に伝えられるか。
有意義な一週間だった。
思った形が逃げないうちに描きとめておけるように。
1人、インクペンでさらさらデザイン画を描くデザイナーさんがいて、絵の雰囲気も好きだから なおさらいいなとおもう。
ひとつ考えながら描いてるうちにもう気持ちは「描けない」にむいて試行錯誤が始まる。
そのうち、さっき思いついたアイデアはどこか彼方へいってしまってる。
うんうんうなりながら
雑誌の切り抜きを眺めてる時間の長さに愕然とするし。
あれだけリサーチに時間かけたのに。
あれだけいいものをたくさん吸い込んだはずなのに。ないわけなくて、わたしの頭の中に種は撒かれてあるはずなのになぁ。
やっつけ仕事と片付け仕事になったらだめだ。
もったいない。
来年秋冬にお店に並ぶ商品は いましか生まれる時がないんだから。
そのときの喜びを得るチャンスも今だけなんだから。
それは黒い服の防御力の強さ。
と同時に色ものの弱さ。
わたしはどうしてもペールトーンにばかり目がいくし手にとってしまう。
クリーム色や杢ベージュ、コーラルピンクや淡いブルーグリーン。
それに、いろんな色が入った大柄の花柄。
流行り廃り関係なく 子どものころから ずっと。
でも 今の流れの中
特にいわゆる「業界」といわれる中では
圧倒的に色ものは弱者みたいだ。
ロンドンパリで
毎日わたしひとりだけが色だった。
他の人はみんな頭の先から爪先まで真っ黒だった。
ハイブランドの店が軒を連ねる通りを歩く人たちもみんな黒かった。
そんな中 歩くのは
正直すごく疲れた。
自分が幼稚にみえるようで、ウインドウに映る度 あぁ と場違いな思いがした。
モード=ブラックの根深さを思い知った。
実際 いっしょにいった人が「一目でモード関係者ってわかるよね。とりあえず黒着とけば安心だから。」と 横の人に言うのを聞いちゃったし。
黒を知らないからっていうのもあるんだろうけど、
それにしてもつまらなすぎるんじゃないかな。
安易だ、 とはまだ黒のおもしろさを知らないから 簡単には言っちゃいけないと思うけど、
この世界は色で満ちあふれてるのに その色をすくいとらないのはもったいない。
でも いやだいやだ ばっかりじゃ それもまたもったいない。
わたしも黒を一度体験してみないとな。
それとは別に やっぱりわたしは色がすきだ。
そこが 今のわたしの出発点なんだった。そういえば。
今朝は寝坊が心配すぎて
4時半くらいから寝ぼけて起きて、
また寝ぼけたまま床で寝てたり、
そんな頭でお弁当つめたり。
でも今日はやっとからだがかえってきたのか
出張あけのひどいむくみと眠気からは解放された。
月曜日の夜 家族4人がリビングに揃い、みんなで新品種のマスカットを食べながら、房が倒れただけで笑ってたのや、
おととい うちに二家族8人が勢揃いで賑やかに楽しくごはん食べてたのとかが
まるで夢みたい。
あまりに楽しい日が
凝縮されまくって
たった1日2日におさまっちゃったのが残念。
余韻をしっかり味わおう。じゃなきゃ もったいなすぎる。
感じて、
しかも開き直れず、
いつもどうしようもなく悲しい気持ちになること。
人間力っていうことばをよく聞くけど、わたしにはそれがない。
あるとしても薄すぎる。
もしくは今の場所があわなさすぎるのかな。
昔からそう。
高校では特に。
苦い思い出ばかり。
初めてカナダに留学した時、どうやっても埋もれてしまって死ぬほど苦しかった。
今、そのときに近い。
英会話を始めた時、
はやくうまくなりたい一心で恥もなにもかも捨てて、からだまるごと私、っていう気持ちで体当たりした。
人は物怖じする人の言葉はあんまり信じない。
だけど わからないならわからないなりに体当たりで頑張るガッツは買われるし、可愛がられる。
私は ものをしらなさすぎて まったくことばをもっていない。
洋服をみて感動はする。
なのにそれを表現することばをもたない。
そうすると自然にくちをつぐんでしまう。
そうすると存在感がもともと薄いのに もっと薄くなって自分で息をするのが苦しくなる。
努力できる余地は腐るほどある。
いいものをたっぷりおなかいっぱいみて
目を養おう。
多少 ミーハーにならないと。
老舗の二大デパートのギャラリーラファイエットとプランタンをぐるりとみてまわると もう閉店の9時。
やっぱりパリは夜になると街が輝く。
昼間はざわざわ、
東京より早足で歩く人でごったがえして きれいとも思わないけど。
今売れてるものと
この先売れるかもしれないもの。
それぞれが何なのか嗅ぎ分け、何が参考になるものなのか整理して 必要なものをサンプルとして買うっていうのはなんなのかよくわからなくなった。
夜、ひさっしぶりのゆうくんの声。
いっきにふかっふかになった。
ありがとう。
おかしくなりそうなくらい緊張しまくりで、まったくうきうきもしてない。
でも、8:27 「公衆電話」の表示と着信。
もしや!とおもうと
やっぱりゆうくん。
「いいたいこといっぱいあるけど、
とりあえず、いっぱいさなえらしい写真を撮って、
図々しいくらいになって楽しんでおいで。
将来、お店するときのためにも役立つよ!
だから、緊張しすぎずに、にこにこでいっておいで。」
はりつめてたのが
一気にゆるんだ。
緊張しすぎて いやだいやだにまでなりそうになってたけど、
ふぅわぁって
すごいおっきないい匂いの毛布でくるまれたみたいな気持ちになった。
今、っていう いまが
やっとわたしのからだの中に入ってきて
あたまとからだがぴたっと合った。
やっと わたしになれた。
よりどころがある、足元のしっかり感。
がんばろう。
いってきます。
とつぜん、
くらっとからだが傾いた気がした。
あれっ?と思ったら
眩暈でもなんでもなくて
かたみみのイヤホンからの音が出なくなっちゃってた。
いろんなボタンをおしたりコードを挿したり抜いたりしても 右耳からはなんの音もでてこなかった。
音なしじゃ なんだかさみしいから
音のでないイヤホンと出るイヤホン それぞれ右左にはめて聴いていた。
不思議なことに
こうなって初めてちゃんと耳の機能を実感する。
いつもは当たり前に
両耳イヤホンからの
頭のなかに響く音に包まれてる。
かたみみになると、
とたんに音の出ない右半身が麻痺してるみたいに、感覚にしゃがかかる。
大学生のころ、眩暈がとまらなかったとき、
元看護師のお母さんに一番にいわれたのが
「耳鼻科には行った?」だった。
まったく理解できなくて
なんで耳??(かあさん、わたし眩暈っていったのに)と 不安になってたくさんインターネットでしらべてみた。
耳が平衡を保つ働きがあるっていうのは高校の生物の教科書にあったような気がするような、とうっすらおもいだしたけど、
初めて このとき 自分の体の中のことに置き換えて、いろんな点がつながった。
っていうのを おもいだして、
今朝は耳のことを考えながら電車に乗ってた。
ある日、桜並木にちょうちんがついた時からわくわくはおっきくなって、
行く行かないに関わらず うきうき心待ちにしてた。
ごはんを食べおわって
ちょっと風邪気味のゆうくんの薬を買いに出た時
むこうから ドンドンと太鼓の音。
あっっっと顔を見合わせて 行こう!っと決めて、
ダッシュでお薬を買いにいって戻ってきた。
カメラと500円玉をポッケに入れて出発。
提灯があかく光る櫓と
まわりで踊るおばあさんやおじいさんや若いお母さんたちや 走り回る子どもたち。
ここに「住んでる」ひとたち。
だれもが今日のこの夜を楽しみにしていて、
盆踊りを練習したり、
町内会で準備をしたり、
浴衣を着せてもらったり。
わたしたちは まだ 外側からみてる。
子どももないし、地域の会にも入ってないし。
旅先のおまつりをみにきた感じ。
それでも こうしてふと秘密の花園みたいな地域の世界に触れて、自分も少なくとも5年は住んでる、と思うと、ここに立つ脚をじんと感じて「わたしは生きてるんだなぁ」とうれしくなった。
数年前には考えられなかったこと。
ずっと根付く場所はここじゃないかもしれない。
でも、いつか こんなふうに、
わたしにも、
「生きていく」場所ができるんだろう とおもうと
走りだしたいくらい わくわくした。
毎シーズン恒例のおっきな会議の準備と、土壇場でのやり直し会議と、フィッティングが同時進行だった今日、わたしの初めての子たちのいくつかをフィッティングできずに終わっちゃったのはほんとに残念だった。
でも、迷う隙間がなく仕上がっていたから今日のは見れなくてもいいとして、今日会議で使ってたから運良く居残った 一番好きな品番を来週きちんと自分の目でみたい。
絵と実物の差を、きちんと感覚として覚えたい。
どんなことが、大勢にむけての洋服を作るためには必要なのか。
少しの経験が、次の気づきにつながって、だんだん紡がれていくから。
今日は1日中、お母さんにもらったごま飴をポッケに入れてた。
少しなめると いきなりごま団子みたいなごまだらけの丸になる、ごま飴。
食べるたびに粒々がぷちぷちはじけておいしくて、
気づいたらすごくたくさん食べてしまってた。
こないだ 低インシュリンダイエットの本読んで
糖類にはきをつけよ、とか思ったばっかりだったのにな。
仕事が終わって、
お母さんからメールが来てたから電話した。
ごま飴の話をしたら、
まるで眩しい朝みたいな 明るい澄んだ声で笑ってくれるから、ぱぁっとからだじゅう流れる血や空気がかるくなって、ぐんぐんめぐりはじめた。
今日1日、がんばってよかったな。
今朝はそれがぽん、っと外に出てきた感じで、
気づいたら「ラーメン食べたい気がする」と口にしてた。
簡単な格好で 涼しい風の中、自転車をこいで東十条のラーメンやさんへ。
「ラーメン食べにいく」っていうことばがなんだか新鮮で、何度もこころの中で反芻してみては、その響きにくすぐったくなった。
ラーメンはもやしがたっぷりで、鰹だしでおいしかった。
やっぱりラーメン屋の雰囲気に慣れず、入って出るまでずっと気持ちがおどおどしてたけど。
帰り道、昼間の活気溢れる十条商店街を通り、
今年初物の秋刀魚をついに買う。
ぷりっとして、おっきなのを二本。
おばちゃんが親切に保冷用の氷を入れてくれて、小さな会話を聞いて気遣ってくれたことに嬉しくなった。
今日は月末だからと
ちょっと思い立って駅前のケーキ屋さんへ。
フルーツミルクレープとレモン風味のレアチーズパイをひとつずつ。
そっと平行に持つケーキの箱がとくべつ感たっぷりでわくわくした。
夜ごはんは念願の焼き秋刀魚。
大根おろしはぴりぴりするほど辛かったけど、
秋だなぁーと噛み締めた。美味しかった。
ケーキも、しばらくしてから、
きちんとクロスをひいて
コーヒーも煎れてたべた。
すこしのことで
とくべつ感が増す。
毎日はこうやって
ちょっとずつのしあわせでできあがっていく。
朝がたっぷり。
朝ごはんも、洗濯もできた。
クーラーなしでもべたべたしてない体が気持ちいいな。
昨日、会社で、花柄といえばわたし、コーラルといえばわたし、といわれた。
ふざけて英名つけあってたら、「よこっちはローラしかないでしょう」と先輩。
あぁー! うんうん、と納得の周り。
大草原の小さな家か赤毛のアンだって。
いやだよー!致命的だよー!
ちょっと間違えばおもいっきりださい方に転ぶところ。
曲がりなりにも洋服つくる職なのに、土と埃と麦わら帽子の匂いするのがぴったりなんて、致命的じゃないのか。
昨日はそれが思った以上にショックだったみたいで、家からどうやっても出れなくて 家の中でひとりぼっち家事ばかりしてる夢をみた。
すごくさみしくて、夕方ゆうくんが外の空気を連れて帰ってきてくれるのだけを楽しみにしてた。
専門学校ではなんにも気にならなかったのに、今こんなに気にしてしまうのはなんでだろ。
どうしてだか 外へ出かけるよりも、うちの中でこまこましたり、ゆるゆるゆったり、時間がたっぷりあるのを感じてるほうがよかった。
おやすみの日の、時間がとまってるようで流れてる、ふわんとふくらんで その合間をふわふわ浮かんでるみたいな感覚がすき。
ミシンをいつでも使えるようにしたい、とずっと思って考えてたら、なんてことはなく、ただ机の引き出しをちょっと横に寄せて配置を変えるだけでよかった。
なーんだ、と数秒でミシンスタンバイの状態に。
ずっと作りたかった髪飾りを作った。
音楽かけて ミシンに黙々とむかうの、やっぱりすごくすき。
頭のなかがしん、として、ただ目の前に針と布があるだけ。
楽しかった。
ごはんも その時食べたいものを、気分で外に食べにでかけたり うちでたべたり、いつ食べたっていいし、なんて 週末だからこそできること。
土曜日もおもいつきで、久しぶりにおくらやにいくことに。
夕方 日が落ちそうな頃、自転車に乗って。
いつも帰る時間に近いけど、いつもとは逆方向に走る景色。
いつもの風景なのに、見たことない景色。
道の両脇に並ぶごはんやさんの看板が、たのしそうに橙色に輝いてみえて、ただ楽しいきもちだけで こんなに世界はきれいに見えるのか、と どきどきした。
初めて面とむかって話をしたのは、みんなで集まってのんだ2ヶ月前。
3年前に初めて会った時の印象とはまったくちがって、びっくりするくらい 人に距離を感じさせない人で、その日の数時間ですっかり魅せられて 大好きになってしまった。
だから、念願の、だった。
低い、おっとりした口調と、喜怒哀楽のはっきりした表情がここちよくて、自分でも不思議なくらい、いろんなことをはなした。
こんなふうに、女友達にたいして、恋がはじまる前にどきどきするような、時間がいくらあっても足りないような、もっともっとって思う気持ちになるなんて高校生ぶり。
そんな人に この歳になって出会えたのは奇跡みたいで、なんだかこころがあったかくてむくむくむずむずする。
4分の1くらい切ってもらって、フライパンでほんわりあたためてもらって、バターをたっぷり。
それに、手間ひまかかった、小梅で作った梅ジャムをつけながら少しずつ食べた。
昨日サービスエリアで買ってくれた 白バラ牛乳の飲むヨーグルトと、佐治ののりこおばちゃんが作ったトマトも並べて。
光さす食卓。
のどかな朝ごはん。
窓から、子供会の子たちが隣の公園で練習してるのが見えて、「あぁ、今日は土曜日の朝だ」と思ったら、一気に普通のおやすみの朝な気がして、「今日帰らなきゃいけない日だ」と昨日の夜から悲しくなってた気持ちがふわっと飛んでった。
景色に溶け込んだ、何気ない朝の風景に 少し救われた。
深呼吸させ
手足を自由にさせてくれる、やさしくて健やかなくうき。
車のなかで
わたしの現実はどこにあるのか 少しわからなくなりそうで、一生懸命 自分をなだめた。
やっぱり 正直なねっこは 匂いある空気を求めてるんだ。
わたしの部屋は私が出てからも、基本的にはずっと変わらず高校三年生で出た時のまま。
うちにいると、何かと話がスムーズにすすむ。
おかしな気を使わなくてすむし、様子がわかるから安心できるし、ちょっと調子悪くても 冗談でやわらげられるし。
おなじうちに住み、おなじ場所に帰り、ごはんを食べ、その日の他愛ない話をする、という、ただそれだけが、どれだけ価値ある 大きなことなのかを知った。
写真は、ベッドからふと見上げたときに はっとした景色。
小学一年生の時の引っ越しもいっしょに経験した、ミッキーミニードナルドのお面が そういえば掛けてあった。
10年以上壁にかけてたら とった輪郭だけ、なぜかくっきり残ってて、みぃとふたりでびっくりした。
こどもの頃からの夢。
剣道をしながら、ずっと、なんでバレエじゃなかったんだろう、って思ってた。
高校あがるときに、意を決して剣道を辞めさせてもらい、ダンス部へ入る気満々だったのに、なぜか なぜか 話の流れで少林寺拳法を習うことに。
始めてみれば、勝敗よりも型の正確さや表現力が評価される少林寺拳法が性にあってたのか、どんどんおもしろくなって、結局 全国大会まで行って、「あぁ、わたしは武道の血が流れてるのかも」となんだかしっくりして終えた。
けど、専門学校で洋服を作り始めて気づいた。
コンセプトメイキングをしてるとき。
やっぱり 人の躯の美しさにすごく憧れを持ってる。と。
どうしても 特にバレエやダンスを軸に考えてることが多かった。
ダンスを観に行くことは増えて、そこから何かをつかみとろうとしてたけど、やっぱり自分がしたことないと、筋肉や骨へのこまやかな気の入れ方がわからない。
いつからか「習いたい」が確かな気持ちになっていて、いつかはいつかはって思ってたから、今年始まる時にダメ元で今年の目標に掲げといてみた。
なんだかもやもやと、
自分の保守的姿勢が心配になってた今週あたま。
ひさしぶりにみたバレエ教室のサイトで、みつけた。
スポーツジムでバレエのレッスン受けるくらいなら、いっそのことバレエ教室に通おう!
どんな初心者向けの小さなとこでもいい、まず始めてみてから いいところは探せばいいじゃん。
って気持ちに すこーんと射抜かれて、その日のうちに無料体験申し込み。
実際昨日。
感激だった。
今まで敷居が高すぎて習うなんてとんでもない、って思ってた、その場所に立って、いきなりバーレッスンを受けてた。
笑えるくらい ちんちくりんで不恰好だけど、先生の綺麗な脚もとの動きを目で追ってるだけで楽しすぎて、ぽこぽこぷくぷく音がするくらい 気持ちが嬉しさで沸いていた。
帰って、相談して、土曜日クラスにいくことに決定。
今日はバレエシューズを見に行く日。
わぁい
昨日は朝8時半には起きておさんぽから始まって、新宿へ用事しにいき、帰ってから花火のお弁当つくって、自転車で花火を見に行って、ぼぉっとしたし。
今日は10時から美容院だったから、9時にはうちを出発。
お昼には二人ともさっぱりすっきり。
もう気分的には4時くらいな充実感。
山手線で恵比寿のパイルカフェでランチ。今日はすごく珍しくお客さんが誰もいなくて、迷いなく一番好きな窓際のソファを選んで、照り焼きランチを食べた。
帰ってきてもまだ夕方前。ちらりと不動産やに寄って、この辺りの物件を見せてもらった。
これから、もっとちゃんと二人で細かいとこまでイメージ膨らませて、おんなじ景色頭に思い浮かべながらさがしたいな。
そしたらきっといいのがみつけれるはず。やってきてくれるはず。
生活を支える、大事な場所だから。
夕飯のカレーの準備もゆるゆるのんびりと。
くつくつ煮込んだから、今日のじゃがいもはほくほくほろほろでおいしかった。辛い辛い暑い暑いいいながら食べて、おなかいっぱい。
普段より1日多いくらいの時間数、二日間まるまるゆるりと過ごしたら、たっぷり満たされた。
ただの週末もちょっとの工夫でバカンスみたいになるって実感。